新進気鋭の青年提督リウス・シュトミールが綴るオリエンティーナ家の小事件。
マリー・オリエンティーナは士官学校の同級生。父親が戦死し、武家の名門オリエンティーナの家督を継いだばかりの少女。
そんなマリーに、リウスは一目惚れ。
ともに軍の実力者の家に生まれた者同士だったことが幸いし、二人は次第に惹かれあい、やがて結婚へと至る。
二人が知り合って、まだ日が浅いある日のこと――
マリーは、末弟リュージェの誕生日を祝いに首都郊外の小村へ。リュージェは、慣れない田舎暮しに落ち込む毎日。そんな末弟を励ましに、多忙な公務の合間を縫って出かけたマリー。しかし、マリーの乗った急行列車が橋から転落したとの報せが入る。姉の来訪を待ちわびていたリュージェの心境は……。
――苛烈極めた「第7次銀河戦役」。その嵐の前の静けさを描いた短編。(1991年4月、執筆。その後、随時加筆)
序 オリエンティーナの家のこと
1 春真っ盛りの日曜日
2 凶報
3 姉、還らず
4 雨あがり
結び あとは、よろしく
あとがき(2004年7月、記)