2006/4/27

 サンキッちゃん(♂)が仙台にやってきましたよ。

 先週のことです。

     *

 サンキッちゃんというのは、自称サブカル評論家――

 といっても、例えば大塚英志さんのような高尚な評論家ではなく、もっとディープで安直な評論家です。
 アダルト・ビデオ(AV)とか、スクール水着(スク水)とか、コスチューム・プレイ(コスプレ)とか――
 まあ、大塚さんに風貌だけなら似てなくもないですが――

 体型は結構、太めです。
 大塚さんが「ちょっと太め」だとすると、サンキッちゃんは「かなり太め」です。

 いつも「カネがない」「カネがない」と騒いでいます。
 ホントにカネがないなら、毎日の食事量を減らせばいいのに、と思います。

 歳はマル太くんや私と、ほとんど一緒――ちょい上――

 私とは、かれこれ10年くらいの付き合い――マル太くんには去年、私が紹介してあげました。

 最近は、わりと仲良さそうです。
 同じ文屋ですしね。

 東大出身――
 元エリート秀才です。
 東洋大ではありません。ときどき、鼻持ちなりません。

 在学中に道を誤り、サブカル業界にドップリ浸かり、今や食うのにも困っています。
 東大に入って道を誤る人は少なくないそうですが、サンキッちゃんも、その一人ですね。

 マル太くんといい、サンキッちゃんといい――
 なんで私の周りには高学歴の下流社会人が多いんでしょうか?

 もっとも、幸せそうではありますが――二人とも――
 もちろん独身です――二人とも――

 あ。
 ちなみに、サンキッちゃんというのは、私が付けたアダ名です。
 本名が「三吉(さんきち)」っていうんですよ。マジで――
 今どき、めずらしいよね。

     *

 で――
 このサンキッちゃんとマル太くん、それに私と、うちの愚弟の4人で、この前、飲んだですよ。
 私のアパートで――
 名付けて「サンキッちゃん仙台ウエルカム・パーティ」――

 結構、盛り上がりましたよ。
 サンキッちゃんが、ディープで安直なサブカル評論家なので、自然と話もそういう方向で――

     *

 サンキッちゃんには、いま、お気に入りのAV女優がいるそうですよ。
 仮に、そのAV女優をRとしましょう。

「このRちゃんが超いいのよ」
 と、サンキッちゃん――
「何がいいの?」
 と、マル太くん――

「女子高生・強姦監禁 モノがいいのよ。もう最高――」
「どこが最高なの?」
「まず制服姿が抜群――十分に18歳以下にみえる」
「あとは?」
「本気で嫌がってる感じとか、そのうちに快楽に堕ちてくみたいな表情とか――」
「演技が上手なんだ」
「『演技じゃないかもしんねえ』ってとこが最高だね」
「なるほど――」

 ……

 ……

 ……

 ……

 お前ら、女の敵だ!!

 どっか逝け!!!

 ……などと思っていたら、マル太くん、
「この人に、そんな表情かかせると巧いよ」
 などと、私に話をふりやがる。

「うん、知ってる」
 と、サンキッちゃん――

「そうかな。僕は、あんまりそうは思わないけどなあ」
 と、うちの愚弟――

 うーむ。
 四面楚歌とは、こういうことを云うのか。
 項羽の気持ちが少しわかったぞ。

 ――愚や愚や、なんじらをいかにせん
  (この愚か者どもメ、愚か者どもメ、どうやって成敗してくれようぞ!)

 註:正しくは「虞や虞や、なんじをいかにせん」(ああ、虞よ、虞よ。お前を、これからどうしようか)――「虞」とは項羽の愛妻・虞姫のこと――項羽は秦末の武将――漢の高祖と争って敗れた。

 そのうちに、話がマル太くんの主導に――

「――でもさ、そういう作品のオファーを受ける女優さんって、どんな気持ちなんだろうね」
 と、マル太くん――

「そのRちゃん、実はブログやってんのよ」
 と、サンキッちゃん――

「へえ」
「――で、早速、読んでみたのよ」
「どうだった?」
「イベントのこととか、雑誌の取材のこととかは、結構、気さくに触れてんのよ。けど、強姦監禁モノとか痴漢モノとか、わりとディープなAVの撮影とかには、ほとんど触れてねえのよ」

 そりゃ、そうだろ!

 けど、マル太くん、
「へえ、そうなんだ」
 と、妙に感心してたりする。

 アホか。

 ……

 ……

「ちょうど、強姦監禁モノを撮影してる頃に、それらしい記載はあるんだが、ちゃんとは書いてねえの」
「なんて書いてあったの?」
「『ちょっとブログお休みしました。監禁されてたからです(笑)』みたいな――」
「なんだ、ギャグにしてんのか」
「そうでもないのよ。その期間、マジでブログ中断されてんのよ。しかも結構、長い間――」

 で、ここからサンキッちゃんの妄想が炸裂――

 いくら撮影だと割り切っていても、実際に強姦監禁の真似事をされたことに変わりはないわけで――
 なにしろ、最近のAVは過激ですからね。
 しかも、カメラの前で強姦監禁の真似事をされちゃったわけで――
 これから先、自分の惨めな姿が全国にばらまかれるわけで――
 だから、撮影後に、それなりに落ち込むのは必至だろう、と――

 AV女優には強姦監禁モノのスペシャリストがいるのですが――
 このRちゃん、デビュー当時は、どちらかというとソフト路線を売り物にしていたようなのですよ。
 強姦監禁モノは、ちょっとキャラじゃなかったんじゃないか、と――

 なので、
「Rちゃん、可哀想なのよ」
 と、サンキッちゃん――

 ……

 ……

 ……

 ……

 だったら買うなよ、そんなAV!

 ……

 ……

 で――
 例によって、マル太くんが私に話しをふる。
「その辺の女性心理って、どうなの?」

 ……

 ……

 ……

 ……

 いいかい、マル太くん!

 そういうのを セクハラ っていうんだよ!

 知ってる!?

 ……

 ……

 まあ――
 たぶんマル太くんは確信犯ですからね。

 そうやって、京子さんを ネチネチ ネチネチ と、ナブるのがお好きですから――

 ええ。
 いくらでもナブられてあげますとも――
 マル太くん、まだまだオコチャマですからね。

 そういえば――
 去年の今ごろ、京子さんがスク水姿を晒すハメになったのは、マル太くんの奸計のせいでした。

 屈辱!

 そして、あのとき――
 一番、興奮してそうだったのが、サンキッちゃん――

 不覚!

 ぬううぅぅ!

 まあ、でも――
 話をふられちゃったら、ちゃんと答えますよ。
 ウダウダいってても、おとな気ないんでね。

 で、京子さんの云うよう、
「仕事だと割り切って引き受けたはいいけれど、撮影当日は想像以上に蹂躙されたので、マジでヘコんだ――って感じだったんじゃない?」

「やっぱ、そうかあ」
 と、サンキッちゃん――

さすが女流エロ・マンガ家、よくわかってるねー」
 と、マル太くん――

 ……

 ……

 ……

 ……

 ほざけ!!

 ……

 ……

 というわけで――
 主催者がセクハラまみれになった「サンキッちゃん仙台ウエルカム・パーティ」の一幕でした。


マル太の返信

> 大塚さんに風貌だけなら似てなくもないですが

 え、なに?
 京子さん、大塚英志さんと面識あるの?


京子さんの返信

 あんた、バカァ?

 あるわけないじゃない!
 あったって、マル太くんに紹介なんかしてあげないよ!


マル太の返信

 あ。
 京子さん、怒っている……。

 ナニゲに、某有名アニメ・キャラ風――


京子さんの返信

 怒ってるよ。
 今度、うちで飲み会するときは、毒いれてやる!

 ……

 それはそうと、マル太くん――
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