2005/11/ 9

 10月26日の『京子さん日記』――
 マル太くんによると、ほとんどアクセスがありません。

 う〜ん。
 タイトルが悪かったか――

 プロ野球ネタが敬遠されたってこと?

 でも、あのタイトルでわかる人は、ちょっとはプロ野球を知ってるわけで……。

 なぜ、いつになくアクセスが悪いのだ?

 う〜ん。

 もしかして、これまで『京子さん日記』にアクセスしてくれてた人たちって――

 阪神ファンだった のか?

 だとしたら、ごめん。

 京子さん、告白――

 私、アンチ巨人ならぬ、アンチ阪神 なんです。
 だって、嫌いなものは嫌いなんだもん。

 マル太くんには嫌味半分で心配されていましたが――
 幸い、今のところ、まだ道端で刺されたりはしておりません(笑

     *

 マル太くんに勧められて、恩田陸さんの『光の帝国――常野物語』を読みましたよ。

 マル太くん曰く――
「『光の帝国』は凄いよ。特に『光の帝国』が……」

(なんのこっちゃ)
 と思いましたが、読んで納得――

 たしかに『光の帝国』は凄いです。
 凄い物語です。

 えー。
 マル太くんの台詞の意味はですね、

 ――短編集『光の帝国――常野物語』に収載されている作品は、どれも凄いけれども、その中の短編『光の帝国』が特に凄いよ。

 ということでした。

 短編『光の帝国』は、悲しい、悲しい物語なんです。
 書き出しは「お祈り」の言葉で始まります。

 ――やがては風が吹き始め、花が実をつけるのと同じように――

 という「お祈り」です。
 これを、物語の結末がわかってから読み返すと、涙、涙の「お祈り」なのです。

 京子さん、生まれて初めて小説で泣きましたよ。

 残念ながら、完全無欠の傑作ってわけじゃないですよ。
 ところどころ不自然な設定がみられますし、恩田さんご本人が「拙い世界」と、おっしゃっていますしね。

 けど、そんなことは小さい。

 とにかく、涙なしには語れない――それが『光の帝国』の世界であります。

 普段、汚らわしい物語しか扱ってない京子さんとしましては、思わず襟を正したくなりましたよ。

 ……というわけで――
 気になる人は是非お読みになって下さいませ。
『光の帝国――常野物語』は集英社文庫から出ています。


京子さんの追伸

 マル太くん、ダメじゃん!

『光の帝国』が『光の手国』になってたよ!

「『光の帝国』は凄いよ。特に『光の 帝国』が……」

 こっそり直したって駄目なんだからね!
 肝心のネタの部分なのに!

 だいたい、なんなんだよ! 『光の手国』って! 「テコク」ってよむのかよ! 「手こき」の一種なわけ?
 動詞に変えてみた、と――

  手こかず
  手こきたり
  手こく
  手こくるとき
  手こくれば

 四段活用かよ!

 ってか、その前に古語かよ!

 ――いと見目うるはしき公達の、御簾の内におはしたるを覗き見れば、うはうはと手こきされたまへるに

 (たいそう見た目の美しい貴族の青年が御簾の内側にいらっしゃるのを覗き見ると、「うはうは」と手こきをしなさっているので)

 なんじゃあい!
 そりゃあ!

 ……

 ……

 おあとがよろしいようで……。

 ……

 ……

 え? よくない?

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